《吾輩は猫である》

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吾輩は猫である- 第10部分


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─铣晒Δ工毪蓼扦蠜Qして中絶仕(つかまつ)らざる性伲撕颏à袊I吐方(おうとほう)を再興致し候(そろ)も遠からぬうちと信じ居り候(そろ)次第。右は発見次第御報道可仕候(つかまつるべくそろ)につき、左様御承知可被下候(くださるべくそろ)。就(つい)てはさきに申上候(そろ)トチメンボ挨涌兹袱紊啶斡Y走も可相成(あいなるべく)は右発見後に致し度(たく)、左(さ)すれば小生の都合は勿論(もちろん)、既に胃弱に悩み居らるる大兄の為にも御便宜(ごべんぎ)かと存候(ぞんじそろ)草々不備」

何だとうとう担(かつ)がれたのか、あまり書き方が真面目だものだからつい仕舞(しまい)まで本気にして読んでいた。新年匆々(そうそう)こんな悪戯(いたずら)をやる迷亭はよっぽどひま人だなあと主人は笑いながら云った。

それから四五日は別段の事もなく過ぎ去った。白磁(はくじ)の水仙がだんだん凋(しぼ)んで、青軸(あおじく)の梅が瓶(びん)ながらだんだん開きかかるのを眺め暮らしてばかりいてもつまらんと思って、一両度(いちりょうど)三毛子を訪問して見たが逢(あ)われない。最初は留守だと思ったが、二返目(へんめ)には病気で寝ているという事が知れた。障子の中で例の御師匠さんと下女が話しをしているのを手水悖à沥绀Δ氦肖粒─稳~蘭の影に隠れて聞いているとこうであった。

「三毛は御飯をたべるかい」「いいえ今朝からまだ何(なん)にも食べません、あったかにして御火牐Вà长浚─饲蓼筏皮蓼筏俊购韦坤à椁筏胜ぁ¥蓼毪侨碎gの取扱を受けている。

一方では自分の境遇と比べて見て羨(うらや)ましくもあるが、一方では己(おの)が愛している猫がかくまで厚遇を受けていると思えば嬉しくもある。

「どうも困るね、御飯をたべないと、身体(からだ)が疲れるばかりだからね」「そうでございますとも、私共でさえ一日御 (ごぜん)をいただかないと、明くる日はとても働けませんもの」

下女は自分より猫の方が上等な動物であるような返事をする。実際この家(うち)では下女より猫の方が大切かも知れない。

「御医者様へ連れて行ったのかい」「ええ、あの御医者はよっぽど妙でございますよ。私が三毛をだいて圆靾訾匦肖取L邪(かぜ)でも引いたのかって私の茫à撙悚─颏趣恧Δ趣工毪螭扦筏绀Α¥いú∪摔纤饯扦悉搐钉い蓼护蟆¥长欷扦工盲迫蛳イ紊悉刂堡筏郡椤ⅳ摔浃摔湫Δい胜椤⒚à尾荬悉铯筏摔夥证椁蟆⑴祝à郅Γ─盲皮い郡榻瘠税K(なお)るだろうってんですもの、あんまり苛(ひど)いじゃございませんか。腹が立ったから、それじゃ見ていただかなくってもようございますこれでも大事の猫なんですって、三毛を懐(ふところ)へ入れてさっさと帰って参りました」「ほんにねえ」

「ほんにねえ」は到底(とうてい)吾輩のうちなどで聞かれる言葉ではない。やはり天璋院(てんしょういん)様の何とかの何とかでなくては使えない、はなはだ雅(が)であると感心した。

「何だかしくしく云うようだが……」「ええきっと風邪を引いて咽喉(のど)が痛むんでございますよ。風邪を引くと、どなたでも御咳(おせき)が出ますからね……」

天璋院様の何とかの何とかの下女だけに馬鹿叮嚀(ていねい)な言葉を使う。

「それに近頃は肺病とか云うものが出来てのう」「ほんとにこの頃のように肺病だのペストだのって新しい病気ばかり殖(ふ)えた日にゃ油断も隙もなりゃしませんのでございますよ」「旧幕時代に無い者に碌(ろく)な者はないから御前も気をつけないといかんよ」「そうでございましょうかねえ」

下女は大(おおい)に感動している。

「風邪(かぜ)を引くといってもあまり出あるきもしないようだったに……」「いえね、あなた、それが近頃は悪い友達が出来ましてね」

下女は国事の秘密でも語る時のように大得意である。

「悪い友達?」「ええあの表通りの教師の所(とこ)にいる薄ぎたない雄猫(おねこ)でございますよ」「教師と云うのは、あの毎朝無作法な声を出す人かえ」「ええ顔を洗うたんびに鵝鳥(がちょう)が絞(し)め殺されるような声を出す人でござんす」

鵝鳥が絞め殺されるような声はうまい形容である。吾輩の主人は毎朝風呂場で含嗽(うがい)をやる時、楊枝(ようじ)で咽喉(のど)をつっ突いて妙な声を無遠懀Г顺訾柜堡ⅳ搿C嫌の悪い時はやけにがあがあやる、機嫌の好い時は元気づいてなおがあがあやる。つまり機嫌のいい時も悪い時も休みなく勢よくがあがあやる。細君の話しではここへ引越す前まではこんな癖はなかったそうだが、ある時ふとやり出してから今日(きょう)まで一日もやめた事がないという。ちょっと厄介な癖であるが、なぜこんな事を根気よく続けているのか吾等猫などには到底(とうてい)想像もつかん。それもまず善いとして「薄ぎたない猫」とは随分酷評をやるものだとなお耳を立ててあとを聞く。

 。。



二 … 11

  
「あんな声を出して何の呪(まじな)いになるか知らん。御維新前(ごいっしんまえ)は中間(ちゅうげん)でも草履(ぞうり)取りでも相応の作法は心得たもので、屋敷町などで、あんな顔の洗い方をするものは一人もおらなかったよ」「そうでございましょうともねえ」

下女は無暗(むやみ)に感服しては、無暗にねえを使用する。

「あんな主人を持っている猫だから、どうせ野良猫(のらねこ)さ、今度来たら少し叩(たた)いておやり」「叩いてやりますとも、三毛の病気になったのも全くあいつの御蔭に相摺搐钉い蓼护螭猡巍ⅳ盲茸墸à郡─颏趣盲皮浃辘蓼埂

飛んだ冤罪(えんざい)を蒙(こうむ)ったものだ。こいつは滅多(めった)に近(ち)か寄(よ)れないと三毛子にはとうとう逢わずに帰った。

帰って見ると主人は書斎の中(うち)で何か沈吟(ちんぎん)の体(てい)で筆を執(と)っている。二絃琴(にげんきん)の御師匠さんの所(とこ)で聞いた評判を話したら、さぞ怒(おこ)るだろうが、知らぬが仏とやらで、うんうん云いながら神拢试娙摔摔胜辘工蓼筏皮い搿

ところへ当分多忙で行かれないと云って、わざわざ年始状をよこした迷亭君が飄然(ひょうぜん)とやって来る。「何か新体詩でも作っているのかね。面白いのが出来たら見せたまえ」と云う。「うん、ちょっとうまい文章だと思ったから今翻訳して見ようと思ってね」と主人は重たそうに口を開く。「文章? 誰(だ)れの文章だい」「誰れのか分らんよ」「無名氏か、無名氏の作にも随分善いのがあるからなかなか馬鹿に出来ない。全体どこにあったのか」と問う。「第二読本」と主人は落ちつきはらって答える。「第二読本? 第二読本がどうしたんだ」「僕の翻訳している名文と云うのは第二読本の中(うち)にあると云う事さ」「冗談(じょうだん)じゃない。孔雀の舌の讐(かたき)を際(きわ)どいところで討とうと云う寸法なんだろう」「僕は君のような法螺吹(ほらふ)きとは摺Δ怠工瓤邝祝à沥窑玻─蚰恚à窑停─搿L┤护郡毪猡韦馈!肝簦à啶─筏ⅳ肴摔疥枻恕⑾壬暶膜悉搐钉椁踏趣い盲郡椤⑸疥枻R子(まご)の書いた借金の催促状を示して近来の名文はまずこれでしょうと云ったという話があるから、君の審美眼も存外たしかかも知れん。どれ読んで見給え、僕が批評してやるから」と迷亭先生は審美眼の本家(ほんけ)のような事を云う。主人は禅坊主が大燈国師(だいとうこくし)の遺眨Вà妞いぃ─蛘iむような声を出して読み始める。「巨人(きょじん)、引力(いんりょく)」「何だいその巨人引力と云うのは」「巨人引力と云う睿怠埂该瞍暑}だな、僕には意味がわからんね」「引力と云う名を持っている巨人というつもりさ」「少し無理なつもりだが表睿坤椁蓼贺摛堡皮趣筏瑜Α¥饯欷樵纭à饯Δ饯Γ┍疚膜蛘iむさ、君は声が善いからなかなか面白い」「雑(ま)ぜかえしてはいかんよ」と予(あらか)じめ念を押してまた読み始める。

ケ趣戏櫎橥饷妫à饯龋─蛱鳎à胜─幛搿P梗à筏绀Δ耍─颍à郡蓿─蛲钉菠七'んでいる。彼等は高く球を空中に擲(なげう)つ。球は上へ上へとのぼる。しばらくすると落ちて来る。彼等はまた球を高く擲つ。再び三度。擲つたびに球は落ちてくる。なぜ落ちるのか、なぜ上へ上へとのみのぼらぬかとケ趣劋!妇奕摔刂肖俗·喙胜恕工饶袱黏à搿!副摔暇奕艘Δ扦ⅳ搿1摔蠌姢ぁ1摔贤蛭铯蚣海à危─欷畏饯丐纫1摔霞椅荬虻厣悉艘R亭酗wんでしまう。小児も飛んでしまう。葉が落ちるのを見たろう。あれは巨人引力が呼ぶのである。本を落す事があろう。巨人引力が来いというからである。球が空にあがる。巨人引力は呼ぶ。呼ぶと落ちてくる」

「それぎりかい」「むむ、甘(うま)いじゃないか」「いやこれは恐れ入った。飛んだところでトチメンボ斡道瘠祟A(あずか)った」「御返礼でもなんでもないさ、実際うまいから訳して見たのさ、君はそう思わんかね」と金縁の眼鏡の奥を見る。「どうも驚ろいたね。君にしてこの伎倆(ぎりょう)あらんとは、全く此度(こんど)という今度(こんど)は担(かつ)がれたよ、降参降参」と一人で承知して一人で喋舌(しゃべ)る。主人には一向(いっこう)通じない。「何も君を降参させる考えはないさ。ただ面白い文章だと思ったから訳して見たばかりさ」「いや実に面白い。そう来なくっちゃ本ものでない。凄(すご)いものだ。恐縮だ」「そんなに恐縮するには及ばん。僕も近頃は水彩画をやめたから、その代りに文章でもやろうと思ってね」「どうして遠近(えんきん)無差別(むさべつ)祝à长婴悚┢降龋à婴绀Δ嗓Γ─嗡驶伪趣袱悚胜ぁ8蟹沃沥辘坤琛埂袱饯Δ郅幛皮欷毪葍Wも仱隁荬摔胜搿工戎魅摔悉ⅳ蓼扦怵徇‘(かんちが)いをしている。

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二 … 12

  
ところへ寒月(かんげつ)君が先日は失礼しましたと這入(はい)って来る。「いや失敬。今大変な名文を拝聴してトチメンボ瓮龌辘蛲酥危à郡い福─椁欷郡趣长恧恰工让酝は壬显Uのわからぬ事をほのめかす。「はあ、そうですか」とこれも訳の分らぬ挨拶をする。主人だけは左(さ)のみ浮かれた気色(けしき)もない。「先日は君の紹介で越智枺L(おちとうふう)と云う人が来たよ」「ああ上(あが)りましたか、あの越智枺L(おちこち)と云う男は至って正直な男ですが少し変っているところがあるので、あるいは御迷惑かと思いましたが、是非紹介してくれというものですから……」「別に迷惑の事もないがね……」「こちらへ上(あが)っても自分の姓名のことについて何か弁じて行きゃしませんか」「いいえ、そんな話もなかったようだ」「そうですか、どこへ行っても初対面の人には自分の名前の講釈(こうしゃく)をするのが癖でしてね」「どんな講釈をするんだい」と事あれかしと待ち構えた迷亭君は口を入れる。「あの枺L(こち)と云うのを音(おん)で読まれると大変気にするので」「はてね」と迷亭先生は金唐皮(きんからかわ)の煙草入(たばこいれ)から煙草をつまみ出す。「私(わたく)しの名は越智枺L(おちとうふう)ではありません、越智(おち)こちですと必ず断りますよ」「妙だね」と雲井(くもい)を腹の底まで呑(の)み込む。「それが全く文学熱から来たので、こちと
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